ravideの食表現 対話から生まれるオリジナル食育『スマイルカフェ』

2025-07-02

○園の一員になる

私たちが乳幼児教育の施設と連携させていただく際に、もっとも大切にしていることが「その園の一員になる」ことです。乳幼児教育の施設と連携して、運動や英語のプログラムを提案する人たちの呼称としてよく聞く言葉に「外部講師」があります。その言葉には、外から来た人が、その人たちの裁量で、その人たちがいる時間だけに行われる活動という意味が含まれているように感じます。運動や英語のプログラムであればそれで良いかもしれませんが、「遊び」としての要素だけでなく、「生活」の要素を大きく持つ「食育」に関しては、外部講師としてその時限りのプログラムの提案ではいけないと思っています。

人と人、人と自然社会をつなぐ社会的な面と、さまざまな思考や心の豊かさにつながる文化的な面を持つ、日々の継続的な営みである「食生活」に関わる提案をする「食育」だからこそ、その日、その時、その場限りの取り組みではなく、日々の「生活と遊び」へ結びつく「有機的なつながりを生む」提案をしていきたいと考えています。

だからこそ私たちは連携する園の中で、ravideとして存在するのではなく、その園の保育・教育をともに作っていく一員として、その園の先生として居ることを大切にしています。

○ともに提案を考え、子どもの姿を振り返る

具体的なことで言うと、私たちは毎回の提案を必ず園の先生たちと話し合って決めています。例えば運動や英語のプログラムであれば、外部講師の先生が決めてきた内容を行い、その時間は外部講師にお任せして園の先生はフォローするだけということも多いのではないでしょうか。そうした外部講師のプログラムは目の前の子どもたちに合わせた提案ではなく、大人の提案に子どもたちが合わせるような提案も少なく無いのでは無いでしょうか。もしかすると、園の先生たちにとっても、私たちにとっても「効率性」だけを考えればその方が楽かもしれませんが、私たちはそうしません。

月毎や、活動ごとに話し合いの時間を設けるなど、園の要望に応じて話し合いの方法は変えていますが、必ず「内容の検討」「振り返り」の機会をとり、園の先生たちと一緒に子どもの姿を語り合うことをしています

こうした手間をかけるのは、子どもたちの興味関心に寄り添い、生活と遊びに結びつく「生きた学び」を提案するためです。私たちの食育は、外部講師によるプログラムではなく、その園で営まれる「保育」でありたいと考えています。

○子どもたちが今「夢中になっていること」とつながる「文脈のある食育=食表現」

そんな思考が提案に結びついた実践例をご紹介します。ravide設立時からお世話になっています東京杉並にある保育園です。この園では「オープンフラットなチーム」を職員のチーム像に掲げており、パートの先生たちも正規職員の先生も対等な関係性を築かれていることがとても素敵です。

さて、今回の提案の始まりは新年度が始まる前の3月に遡ります。あるパートの先生と、子どもたちでお店屋さんごっこがはじまりました。最初はごっこゾーンにある玩具を用いてやりとりを楽しむ、よく見る遊びでしたが、ある子の「ドーナッツ屋さんをやろう」という発案から、さまざまな対話が生まれます。どんな素材でドーナッツをつくるのか?(制作物)、お客さんに喜んでもらうには?どうしたら買いたくなる?一口で食べられたら手が汚れないのでは、テイクアウト&食べ歩きができるものにしよう!などなど…週に2日のパートの先生との交わりの中で、少しずつ話し合いと制作を進めていき、ドーナッツ屋さんをやるということで始まった話し合いは、毎月違うものをつくりたいという意見から『スマイルカフェ』へ発展!ようやく4月の中旬に、ごっこ遊びでの『スマイルカフェ』が営業されたようです。

こうした、食に関する話題だけでなく、いま子どもたちがどんな遊びに夢中になているのかを、話し合いの中で共有してもらい食育の内容を検討していきます!

この遊びを基に、実際に「カフェ営業」をやってみよう!ということで、夕方のお迎えの時間に合わせて午後の時間に「ドーナッツづくり」を行い、お茶を用意しました。子どもたちはドーナッツを作るだけでなく、看板やレシート、お土産に制作物のドーナッツまで作成していました!食育を通して、「文字への親しみ」にもつながります。

中には家からエプロンを持参してきた子もいたり、乳児の親子もお客さんで来てくれることで「幼児になったらこんなこともできるようになるのか!」という今後の子育てへの期待感が生まれたり、カフェの中で保護者同士や保護者と先生のコミュニケーションが生まれたり…大人も一緒に楽しみながら、食を通して様々な育ちにつながることを感じ取ってもらう機会にもなっていました。

「食はツール」「楽しみごと=育ちごと」「遊び=学び」であることを私たちも改めて実感する機会になりました!

ravideではこうした「食を通した遊び=学び」の機会を提案しています。食に関することに親しむだけでなく、食をツールとして子どもたち自身が思考し表現することを大切にした提案を「食表現」と呼んでいます。食表現に関する思いは過去の記事をご覧ください。『スマイルカフェ』の中でも、事前の話し合い、調理過程、盛り付け、装飾、接客やコミュニケーション、準備に片付け…たくさんの素敵な表現がありました。これは、プログラムを提供するだけの「外部講師」にはできない提案です!子どもたち、先生たち、保護者たちと一緒につくりあげる営みだからこそ「感動体験」は生まれます。次のスマイルカフェはどんなメニューが生まれるでしょうか?もう話し合いは進んでいます!

ravideでは食育=食表現の無料お試し、実践園の見学を随時受け付けています!興味を持たれた保護者さまがいましたら、お子様を預ける施設へお試しで伺うこともできます。ぜひお気軽にお問い合わせください。